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column p.s magazineがお送りする様々な企画

俺の一枚

「俺の一枚」
それは誰しもが持っているはずのたった一枚。
オンリーワンでナンバーワン。
そんな俺の、俺だけの一枚をバンドマンや、
アーティストに紹介してもらうリレーコラムです。

 

第9回武市和希の一枚

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武市和希(mol-74)

mol-74でギターボーカルを担当。

⇒ mol-74 オフィシャルサイト

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Official Websiteオフィシャルサイト

mol-74

武市和希(Vo,Gt,key)、井上雄斗(Gt,Cho)、坂東志洋(Dr,Cho)とサポートメンバーの831(Ba,Cho)から構成されるオルタナティブロックバンド。

「脆く、儚く、美しい。」まるで雪片のような音像と、武市のファルセットボーカルが描きだす情景はmol-74の音として唯一無二の世界観を展開している。



title

Með suð í eyrum við spilum endalaust

artist

Sigur Rós

アイスランドのSigur Rósによる5thアルバム。

P.S. Magazineをご覧の皆様、こんにちは。mol-74のボーカル武市です。LINE wanna be Anchorsの阿部君からバトンを引き継いで今回の「俺の一枚」を担当させて頂きます。宜しくお願いします。

さぁ、早速ですが紹介させて頂こうと思います。僕の「俺の一枚」はSigur Rós(シガー・ロス)の「Með suð í eyrum við spilum endalaust」です。お前やっぱり好きなんだなっ!と思われた方もいるのではないでしょうか。「Sigur Rós?初めて聞いたぜ!」って人はウィキペディアで調べてね。

この作品はアイスランド出身のシガー・ロスというバンドの作品で邦題では「残響」というタイトルになっています。なぜこの邦題なのかは未だによく分からないのですが。それは置いておいてなぜこれが俺の一枚なのかというと、この作品を初めて聴いた当時の僕の中にあった“バンドサウンド”という価値観を180度変えてくれたからです。

高校生の時からバンドを組んでやり始めた訳ですけど、当時の僕は洋楽というものに興味がなく、そのうえ凄く抵抗があったからほぼJ-ROCKしか聴いてなかったんですね。いわゆるロキノン系と呼ばれてるバンドが大好きでずっと聴いてました。アジカンやベボベ、バンプとか。僕らの周りもそんな感じで。それからもずっと聴く音楽に大きな変化はなく、今から3年前くらいかな。くるりが大好きな友達とよく遊んでてその子が、Sigur Rósの「Með suð í eyrum við spilum endalaust」を貸してくれたんです。でもその時は全然興味もなくて一応iPodには入れとこうとかそのくらいで聴きもしなかったんですね。で、ある日散歩してる時にiPodをシャッフルにして聴いてたらこのアルバムの2曲目である「Inní Mér Syngur Vitleysingur」が流れたんです。それはもうすごく衝撃的で聴いた瞬間に「何これ!?」ってなったのを今でも覚えてます。

今まで聞いたことのない音の満たされ方で自分の中の世界がすごく広がったんですよね。「とりあえずロックバンドは歪んだギターを掻き鳴らしてナンボやろ!」みたいな当時の安直で狭窄な考え方だった僕からしたら、とんでもない衝撃が走った訳です。

そして、僕自身これが洋楽に興味を持つ機会になった作品でもあります。この作品がきっかけで色んな音楽を聴くようになって自分の中の、”バンドサウンド”の幅はすごく広がりました。というより、ひっくり返された感じなのかな。そしてその感覚は今の僕らにとって絶対的なものになってます。もしあの時友達がこの作品を貸してくれなかったらと考えると結構ゾッとする。ライブでモニタースピーカーに足を置いて客を煽ってたかもしれない…。今僕がそれをやったらもうギャグ以外何物でもない。友達に大感謝ですね(笑)

洋楽離れが進んでるとよく耳にするけど、個人的には本当にそうだなって思います。リスナーだけの話じゃなくてプレイヤーもそうだなって。今の日本の若手バンドシーンを取ってみても邦楽バンドをモロに影響を受けてるんだろうな、って思うことが多いんですよね。それが良いか悪いか、正解か不正解かをアーティストや評論家が議論することは実はとても不毛なことであって、全てはリスナーが判断することだと個人的には思ってて。ただ、僕個人としてそれは凄く残念だなぁってことです。自分も邦楽しか聴いてこなかった人間だから余計にね。やっぱり邦も洋もそれぞれ良いところがあるからこそ色んな音楽を聴いてほしいなぁって思います。

「別に音楽興味ねぇんだわー」って人は全然それで良いと思うんだけど、今これを見てるってことは… ね?そういう意味でも自分が影響を受けた洋楽をこうやって今回の「俺の一枚」も含めた何かしらのメディアで発信出来るのは凄く嬉しいです。昔の僕にも言ってやりたい。カッコイイ音楽はJ-ROCKだけじゃないんだぜ!って。たぶん聞く耳持ってくれなさそうだけどね(笑)

他にも色々紹介したい1枚はあるんだけどそれはまた機会があれば。この記事が色んな音楽を聴くきっかけになってくれたら嬉しく思います。ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。またライブハウスでお会いしましょう。

 

次回牧野純平(LILI LIMIT)の一枚

次回は、LILI LIMITのボーカル牧野純平さんを予定。お楽しみに。

次回の一枚もお楽しみに。