街が出す音、横浜からの回答
■cinq
横浜は白楽にある某大学にて結成されたバンド“cinq”。音源のリリースやライブ活動などは比較的少ないものの、地道な活動を続け、卓越したバンドサウンドを鳴らしています。
メンバーに集まっていただき、バンドについて、またバンドが活動の拠点としている“横浜”という街について、深く語ってもらいました。
cinq
阿部悠太 (Gt.)、富永竜司 (Gt.)、金子純也 (Ba.)、石倉洋晃(Dr.)、藤岡なつゆ (Piano.)
2008年に横浜の某大学の音楽サークル仲間が集まって結成した、5人組インストゥルメンタルバンド。主に横浜や都内のライブハウスにて活動し、2013年に初の単独デモ音源をリリース。メンバー各々の確かなバックグラウンドに裏付けされた楽曲は、巷にあふれるインストロックバンドとは一線を画す。
- https://twitter.com/cinqOFFICAL
「友達だから。友達の延長だよね。」
結成は、いつどんなきっかけでできたバンドですか?
いいの?長いよ?(笑)単独2万字インタビューになっちゃうけど平気?(笑)最初は大学のサークルです。
最初はバラバラだったんだよ。スカイ(阿部)となつゆ(藤岡)と竜司(富永)で別で、俺と竜司と前のベースのやつでバンドを組んでたんだ。
組んでたってよりかは…
まだ「やりたいね」みたいな感じで。でも、両方のバンドでメンバーが足りない…みたいな。じゃあ、お互い足りない同士なんかやるかってなって。
お互いのバンドがひとつになった?
そうそう。そんな感じ。
全然長くなかったね(笑)
そうね、簡単に説明できたね(笑)
cinqのみんなは、NMK(神奈川大学内の音楽サークル)に所属していたんですよね。
うん。まぁNMK入って好きな音楽とか色々変わったね〜。
サークルに入ったきっかけは?
勧誘で、誘われたから。
(笑)
俺は元々普通のロックが好きで。8ビートの。そっからどんどん辿っていくじゃん。で、The Mars Voltaとか聴くじゃん。それで新入生勧誘の時、「Mars Volta好きなの?!」って先輩とかが言ってくるじゃん。そういう勧誘するんだよ、あの人達は(笑)で、俺らの時のサークルの新入生歓迎ライブみたいのがあるんだけど、そこでAt The Drive-Inをやってて、「あーもうここに入ろう」って。
他のみんなはどんな感じだったんですか?
俺も一緒な感じだよ。
一緒じゃねーだろ(笑)
俺はB級スラッシュメタルが好きで、「VOIVODが好き」って言ったらすげー食いつかれて。俺はスラッシュメタルしか聴いてなかった。
みんなバラバラだったよね。
バラバラですよ。音楽性も出身地もみんなバラバラだし。みんなルーツは違うから。別にcinq組んだ時もさ、なんとなく「インストやろう」みたいな感じになってるからインストやったけど、別にそんなみんな「インスト!うおおお!」みたいな感じかって言ったら、別にそうじゃないからね(笑)
(笑)
俺とか最初は知ってたのtoeぐらいだったし。
あんまインストとか聴かないしね。
うん。
なぜそれで一緒にインストバンドを組むことに?
友達だから。友達の延長だよね(笑)それでなんか「やるかぁ」みたいな。すげー軽いよね。
特に好きなものが共通していたからバンドを組んだ、というわけでもないんですね。
それはない。
気づいたら組んでた。で、ライブやってた(笑)
ほんとにそんな感じだよね。まぁ、NMKはみんな仲いいし。
今はみんな仕事しているんですよね。
仕事したり、バイトしたり。あとはダイエットしたり(笑)
仕事や生活とバンドとの両立はうまくできてますか?
できてない(笑)
だって今日メンバーに久しぶりに会ったもん(笑)
まだできない。もうちょっと。時間はかかるよねって思った。今はね、変わったばっかってのがあるけど、4月にこいつ(金子)が卒業したから。
メンバーの中に就職組がいて、活動が土日になって、でもなかなか予定が合わせられないっていうのがあるから… っていうところで行き詰まっている、っていうのはある。
今はそれぞれ仕事だったりとかを今はやるときなのかなって。そう思って納得させないと、またできねーってなっちゃうから。今は我慢だな。そういう感じですよ。
うん。
俺は「ハゲでデブのおっさんが拳を握りしめて泣く音楽」がやりたい。
なるほど。活動面では地道に進んでいる状況なんですね。次に、cinqの楽曲について聞きたいのですが、メンバーの音楽性がバラバラっていうのもあるからなのか、ありがちなインストバンドがたくさんいる中で、cinqには他とは違うものを感じるんですよね。
でも俺はむしろ、けっこうありがちなインストバンドにしたいんだよなぁ。
そうなんですか(笑)
コテコテな、エモ・インディー感のあるマスロックじゃないけど。そういうのが好きでやりたいのに、結局違くなるっていう(笑)それは、さっき言ってくれたみたいに持ってるものがメンバーみんなバラバラだからなのかな。別に新しいことをやろうとか、そいういうことは思ってないけどね。だってそういうのってあふれてるじゃん。そんなこと言ったらキリがない。
でもすごくオリジナルに聴こえるんですよね。
そんなことないからね(笑)でも強いて言えば、それはピアノじゃないかな。なつゆのピアノだと思う。俺はそうじゃないかなと思う。なつゆっていう人間はオリジナルの塊だからね(笑)
(苦笑)
それはなんかわかる(笑)
ギターも2本あるしさ、けっこう難しいんだよね。そういう面で言えば。ピアノがガッてなってる時のギターどうしよう?っていう差し引きが。
ピアノがいてギターが2人という編成はあまりないですよね。
そうなってくるとさ、そういうバンドってさ、壮大なさ、もっとストリングスとかも入ってさ、ギター2本がさ、優しく弾いてさ。そういうポストロックあるじゃん?
森の中で鳴っているイメージな…。
CDのジャケットが、とりあえず緑っぽいみたいな(笑)
まぁいいんだけど、そういうバンドにしたくないんだよ。そういうのじゃなくて、いつも言ってるんだけど、俺は「ハゲでデブのおっさんが拳を握りしめて泣く音楽」がやりたい。そういうインストをやりたい。インストでそれをやるっていうのが目標だよね。
たぶん、なかなかうまくいかないからやりたい、続けたい、っていうのもあるのかもしれない。自分の理想に納得できるあれに。こういう風にしたいって思って全然違くなって、でもこれはこれで全然いい気がするなって。んで、もっと近づけていきたいじゃん。思っていることに。そういうのがもっとできるようにって、それも続けていく楽しみではあるね。音の面で言えば。
INFORMATION
cinq
1.the appointment
2.door
3.I have no idea…