女性シンガー3人による新鋭共作盤
■『田』スプリット

INTERVIEW

次に生まれる自分の曲が楽しみ

やまみさんとねたこさんのお二人はバンドでも活動されていますが、弾き語りでのソロ活動を始めたきっかけは?

山田

最初はバンドの傍ら、歌の修行のつもりで始めたんですけど、こっちはこっちで深くてやりがいがあるなっていうのを感じつつ、始めていったときにバンドがちょっと止まったこともあって。だから思い切ってやってみようかなって思ってから、この話が来たので、タイミング的に形になってよかったなって。

猫田

私は弾き語り始めたときは、「一人でやると良い勉強になるからやってみなさい」って周りに言われて始めたんです。やり始めたときはバンドの曲を一人でやるっていうだけだったんですけど、やまみがバンドのときと弾き語りのときとで歌い方が全然違うんですよ。で、使い分けてるってその時は思わなかったから。バンドが休止してるから歌い方が変わっただけなんだって思って。でもやまみに聞いたら「使い分けてるよ」っていうのを聞いて。「バンドと弾き語りをやってる意味を分けたいから」って。そういう風に色々思っていたときにレオナさんに声かけてもらったから、やる気出して頑張ろうって。

ハネダさんはバンドでの活動はされていないんですか?

ハネダ

19歳ぐらいまではバンドをやっていたんですけど、長く人とうまくできなくて。何個かやってすぐ無くなっちゃうっていうの繰り返してて。でも歌だけはやりたくて、ギターを弾き始めて曲を作り始めてっていう感じです。

弾き語りだとステージに立つときはたった一人ですが、どんな気持ちで歌っていますか?

猫田

怖いです(笑) 弾き語りのときはバンドメンバーがいないから怖くて。でも一人で歌うことを想像しながら練習してたら、不思議と怖くなくなりました。

ハネダ

最初は怖かったんですけど、やり始めたらこういうのがやりやすいなって。今は一人でやっているほうが気が楽ですね(笑)

山田

基本、歌をうたうっていう姿勢、気持ちはバンドも一緒で。没頭するっていうことに関しては一緒ですね。でも私も一人は怖いですね。バンドは音も大きいし複数人いるから紛らわせようと思ったらできちゃうところもあるんですけど、それが一人だと如実にバレるし、人間性も問われるっていうか。
だから演奏してる中身と噛み合うかどうかって、あからさまに分かっちゃうから。だから自分の中身も育たせないといけないなと。だからバンドよりも、ハードコアな精神を持っておかないといけないなって(笑)

今回3人で制作されて、お互いの印象はどのようなものでしたか?

ハネダ

やまみさんは今回よりも2年ぐらい前に共演して知り合って、それ以降、度々会うことがあって。私って大体、人から忘れられるんですけど、やまみさんに会った時は「ハネダかぁ〜!」って言ってくれて、神対応してくれて(笑)太陽みたいで、やまみさんと会うと元気もらえるなって。
ねたこさんは、共演したときに知り合って。声が繊細だし私には出せない声だし憧れだし。曲ってすごい人柄が出るじゃないですか。彼女の曲はすごく繊細な歌だと思っていて。寂しい夜とかにねたこさんが横にいてくれたら、気持よく眠れるんじゃないかなって。月みたいだなって思ってます。

猫田

この前その話したときの帰り道に、アカリちゃんってなんだろうって考えた時に… 彼女は冥王星になりました(笑) 地球から一番遠いし、小さいし。歌詞とか見てても23歳にして一体どんな人生を送ってきたんだろうって。すごい文学的で重みのある歌詞を書くじゃないですか。一度脳を解剖して見てみたいっていうか、神秘的。こんな23歳を見たことがない(笑)
やまみは、本当に持ってるオーラがすごく大きくて、暖かい。悩みがあったらぜひ相談したい人です(笑) でも良い部分だけを出してくるわけじゃないんですよ。酒飲みの歌があったりするし。明るいのは、今まで幸せなことばっかりあったからっていうのじゃなくて、人からもらってきた良い気を返してあげられてるんじゃないかなって。そういうことができてる人だなって思います。

山田

私は一番年上なのもあって、しっかりしようみたいなのはあります。「今、変な空気流れてないかな…」みたいな(笑) ねたこは曲にも出てるけど、素朴さとか空気を和らげてくれる感じがありますよね。
アカリちゃんは一番年下だけど、ズバッとものを言い当てるんですよ。だから、大人のないがしろにしている部分を切り裂くみたいな、「それってどういうことですか?」みたいなことを言ってくれるので、尻を叩かれたような気持ちにもなるし、大事なポジションです。良い感じで分担されてます(笑)

今日(取材日:11月1日)のレコ発パーティーを皮切りにツアーの予定もあるということで。

山田

山梨、郡山、名古屋、大阪の4ヶ所ですね。ぜひ来て欲しいです。

今回のスプリット盤をどんな人に届けたいですか?

ハネダ

本当にどんな人でも聴いて欲しいですね。

山田

自分が歌える範囲じゃないところを、二人が歌ってくれてるのもあるし。色んな人に引っかかるものになっていると思います。

最後に、今後の活動の展望などあれば教えてください。

ハネダ

とりあえず私は、“音楽活動を続ける”というところに重きを置いて頑張りたいなと思ってます。私、去年から半年ぐらい「もう音楽やりたくない!」って色々投げていた時期に「田」の話をもらったので、良いきっかけというか、良いスタートを切るきっかけになったんです。これからはまた音楽を続けていって、色んなところに行けたらいいなって思ってます。

山田

私は、“続けていく”っていうのは決めているからそこは揺るがなくて。続ける上での音楽とのつきあい方っていうのにすごく立ち返っています。それって自分だけで考えたことじゃなくて、他の人と出会って芽生えたことなので、とりあえずこのCDを持って色んな所に行って、「自分と音楽のつきあい方はこうだ!」って言えるようになっていきたいです。

猫田

なるようになるっていう感じですが(笑) 弾き語りをやっていくっていう上では、このCDがスタート地点なので、この後3人でツアーを回り終わった後で、自分が作る曲が楽しみだなって。たぶん二人の良いところにいっぱい影響を受けて曲ができると思うので、次に生まれる自分の曲がどんなものなのかっていうのが、想像できないし、それが一番楽しみです。

スプリット盤には、3人それぞれギターまたはピアノの弾き語り曲が収録されていますが、優しげな空気感の中に力強さを感じさせてくれる瞬間もあり、CDの再生が止まった後、全曲通して夢中になって聴いていた自分に気付きます。未聴の方は、ぜひ3人の世界に引き込まれてみて欲しいです…!

→ 山田真未/ハネダアカリ/猫田ねたこ『田』

INFORMATION

山田真未/ハネダアカリ/猫田ねたこ

山田真未/ハネダアカリ/猫田ねたこ

「田」

2015年10月21日(水)発売
¥1,500

1. 田園/山田真未
2. こうもり/猫田ねたこ
3. 新生活/ハネダアカリ
4. ペダル/山田真未
5. パソコン/猫田ねたこ
6. 2014/ハネダアカリ
7. 七夕/山田真未
8. 支えになりたい/猫田ねたこ
9. エンディングテーマ/ハネダアカリ

http://toosmell.com/?pid=94448727