toe「Our Latest Number」インタビュー【メンバーや演奏できる楽器に縛られず】

INTERVIEW

前作「HEAR YOU」のインタビューから約3年、2018年1月に発売された過去のコンピ参加曲やリミックス曲などをまとめた編集盤「That’s Another Story」を経て、待望の新作音源「Our Latest Number」をリリースしたtoe。

インストゥルメンタルの枠を超え、今や世界でも屈指のバンドとして活躍する彼らだが、2018年8月末、アメリカツアーを目前に控えたギター山﨑氏とのメールインタビューが実現。新作やアメリカツアーについてもお訊きしました。

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メンバー:山嵜廣和、美濃隆章、山根敏史、柏倉隆史

2000年結成、日本を代表するインストゥルメンタルバンド。独創的なリズムアプローチやエモーショナルを含めた楽曲で海外からの支持も厚い。楽器のみのインストだけでなく、ゲストボーカルを迎えた楽曲など幅広い表現方法を駆使している。

バンドのメンバーや演奏できる楽器に縛られず、自分が良いと思うアウトプット・音像に近づける

今作「Our Latest Number」では以前よりもミニマルなサウンドが特徴的に感じました。サウンドや楽曲制作面で意識的に変えようと思ったポイントはありましたか?

山﨑

んーー。大体において「意識的に何か変えよう!」と思ってやることは少なくて。なんとなく作曲・録音時の気分的にそういう感じであった、というだけかもしれません。本人的にはそんなにミニマルになった感じもしなくて。

ちなみに制作面で、個人的に一番こだわった部分はどんなところでしたか?

山﨑

今回だけでなく録音・作曲時にいつも心がけているのは、バンドのメンバーや演奏できる楽器に縛られず、自分が良いと思うアウトプット・音像に近づける、ということでしょうか。

制作にはどのぐらいの期間がかかりましたか?

山﨑

楽曲のデモはダラダラずーっと作っているので、いつからってのはちょっとわからないですが、レコーディング自体は2週間くらいでミックスまで終わったんじゃないかと思います。

収録曲のそれぞれのテーマや、制作時から考えていたイメージなどあれば教えてください。

山﨑

んー… 難しいなぁ…。 基本的にテーマありきで曲作っていなくて。そのとき出来た曲を録音する、ということでしかなくて…。すみません…笑

M-2「レイテストナンバー」とM-3「F_A_R」では、楽曲における歌の比重が以前よりもさらに大きくなっているようにも思えました。これは意識的に作られたんですか?

山﨑

んー、そうですね。曲を作り始めるときは、「これは歌入れたい」、「これはこうしたい」みたいなのが最初の方に漠然とあってから作るので。でも、意図して、というより「こういうのが出来ちゃったから…」 ってところが全てだったりします。

「レイテストナンバー」はMVも公開されていますが、映像に出演されているのは一般の方々なんですね。今までにないユニークな作りになっていると思うのですが、どのようにしてこの内容になったのでしょうか?

山﨑

テレビ、映像ディレクターである岡宗さん(岡宗秀吾 監督)の作る「青春」の方向性がすごく好きで。「あんな感じのを作って欲しい!」とお願いして製作してもらいました。基本的にビデオに関しては自分の仕事とは思ってないので、「監督の選択」が僕らのやることのほぼ全てで。お願いした監督には僕らの曲を題材に、その監督自身の作品を作って欲しいな、という感じで発注しています。なんか、リミックスしてもらった感覚に近いかもです。

初回盤CDにはボーナストラックとして以前配布(クローズブランド「F/CE」東京コレクションのランウェイショーのために録音され、来場者のみにカセットテープで配布)された「WAR PIGS feat. kotoringo (Black Sabbath cover)」が収録されていますが、コトリンゴさんとのコラボの経緯はどのようなものでしたか? また、意外にも思えるこの楽曲を選んだ理由も気になります。

山﨑

前から好きな曲で。Faith No Moreのカバーしてるバージョンも好きで。いつか自分らもやりたいなと思ってたんですが、良い機会だったしやってみました。コトリちゃんがハードロックを歌うのもいいなぁ、と思って。

9月からアメリカツアー「toe_North America Tour 2018」がスタートしますが、海外ツアーの規模が年々さらに大きくなってきているかと思います。アメリカのレーベル「Topshelf Records」などを通じてtoeの楽曲が以前よりも広まり、評価されていることも要因だと思いますが、他にはどんなことが要因だと思いますか?

山﨑

なんでしょうね… YouTubeは… ま、以前からだけど。spotifyとかのクラウド型のメディアも、おすすめ機能とかで色々な広がりの手助けしてくれてるのでは? と思ったりしますけど。あまり詳しくなくて、すみません。

今回のアメリカツアーで一番楽しみにしていること、また楽しみな場所はありますか?

山﨑

アメリカでのライブは久しぶりなので、それ自体とても楽しみです。あとは… 今回、Anthraxとかのライブビデオに出てるみたいな、でっかいベッド付きのツアーバスで廻るのでそれも楽しみですね。でも、おじさんばかり10人くらいでずーっと移動なので加齢臭問題への恐怖が半端ないです。

アメリカツアー後の予定は決まっていますか?

山﨑

これからのリリースの具体的な予定はありません。ライブは結構色々やってますので、インターネットなどで探していただけると嬉しいです!

すでに新しい楽曲の構想などはありますか?

山﨑

んー。曲の断片、アイデアは色々あります。

今年は編集盤「That’s Another Story」と今作「Our Latest Number」のリリース、そして国内でのライブ出演や南米ツアーから北アメリカツアーと精力的に活動されている印象なのですが、そうした中でバンド活動において最近一番大変だったことはありますか。

山﨑

んーー。好きなことを勝手にやってるだけなんで、大して大変だったと思うこともないですね。楽しいですよ。

ここ数年ほど、以前よりもライブ出演の本数が多くなっているようにも感じられますが、バンドのライブ活動において特に意識していることなどあれば教えてください。

山﨑

え、そうかな。全然、気にしたことない。多いのかな…。ライブは楽しいので色々やりたいですね。でもライブ一本一本、命を削っているような気もするので、そんなに沢山やりたいってわけでもないです!

 

音楽に対する純粋な姿勢は変わらず、自分たちの音楽を発信するtoe。今作を聴けば、流行り廃りに流されることのないタイムレスな作品であることが分かるはず。アメリカツアーを経て、またさらなる進化にも期待大です…!

INFORMATION

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Our Latest Number

2018/08/22 on sale.
1,944円(税込) XQIF-91001

【収録曲】

  1. Dual Harmonics
  2. レイテストナンバー
  3. Etude Of Solitude
  4. F_A_R
  5.  WAR PIGS feat. kotoringo (Black Sabbath cover)*
    *初回限定盤CDボーナストラック

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