2nd Album「here and there」インタビュー ■malegoat

INTERVIEW

東京エモシーンの代表格と言える4人組バンドmalegoat。前作から数枚のスプリット盤などを経て、ついに2nd Album「here and there」を2015年8月5日にリリース。この新作について、バンドのベーシストである岸野一氏にインタビューしました。
[撮影協力]:石川駿人

malegoat

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Yosuke Sato / Masaru Tanabe / Hajime Kishino / Jun Kawakita

日本に留まらず、USツアーなど海外での活動もおこなう八王子代表。

“若干ふざけてるんだけど、切ない”みたいな

前作(「to face the music」)から5年ぶりアルバムとなりました。今回、製作期間はどのくらいかかったのでしょうか?

岸野

2年ぐらい前からアルバムを作るために動き始めて、去年(2014年)からきっちり曲を作り始めたという感じかな。

それまでにあった曲を入れようというよりかは、アルバムに向けて新しく作っていこうと?

岸野

3曲だけスプリットでも出した曲が入ってるけど、大体はそうかな。Empire! Empire! (I Was a Lonely Estate)とのスプリットの曲(M-4.「The Midnights Lie Around」)を作ったときは、アルバムがどうのっていうのは考えていなくて。Duck. Little Brother, Duck!との曲(M-3.「The Lost Wreck」、M-9.「Blinding Song」)は、元から今回のアルバムに入れるつもりで作ってた。
前回のアルバムは、アルバムを出すために作ったというよりか、“アルバムにするために曲を集めた”っていう感じだったんだよね。で、今回はアルバムの流れを考えて作って。だから曲作りのときも「この曲は、◯◯曲目に入れるために作ろう」みたいなことを想定しながら作ってたから、前回とはけっこう違くて。

おおまかなビジョンが見えたうえで作っていた。

岸野

そうだね。例えば、7曲目(M-7.「Many Answers」)とかは「7曲目みたいな曲を作ろう」って言って作って。あるじゃん、なんかそういうの(笑)

間に挟む曲というか。

岸野

そうそう。

前作は、変拍子だったりマスロックのような印象が強かったのですが、今回は、ストレートなアプローチな曲が多いなと感じました。

岸野

たぶん、諦めたっていうか… 難しいことをするのを(笑) shout moskvaとのスプリットの時とかも、もっとマスっぽい感じだったんだよね。で、今回はシンプルでわかりやすい感じでやろうと。だからギターボーカルのギターパートは、ほぼコードを弾いてるだけだったり。まぁ、あんまり難しいことは向いてないなと(笑)

今作は、王道感あるエモの曲展開みたいなものが随所に見られるなと思いました。

岸野

けっこうベタな感じはあるかもしれない。その辺は曲の作り方が変わったっていうのもあるかも。今回のアルバムの3分の2ぐらいは、元をガレージバンドの打ち込みで作ってて。ギターボーカルのようくん(Yosuke Sato)が基本的な曲の構成を全部作ってきて。そういうのがあったからシンプルになったのかなって。前は、曲のネタを持ってきてスタジオに入ってから組み立てるっていうことをしてたから、すごい時間がかかって。
今回ドラムとかは打ち込みのパターンにわりと忠実に合わせたりしたから、他のメンバーもイメージしやすくて。前は、ようくんがイメージしていない方向に転がったりする面白さみたいなものもあったとは思うけど。

他に変わったことなどはありましたか?

岸野

変わったことと言えば、ギターのタナベ(Masaru Tanabe)が自分でフレーズを考えるようになった(笑) 今までは、ようくんが「こういう感じで弾いて」みたいなのを指示しながらやってたんだけど、自分の家でガレージバンド使って作れるようになったから、そこがけっこう変わったかな。あと、今回のレコーディングは、今までより細かくやったな。リアンプしたりとか。スタジオも色んな場所でやったりしてて。
ミックスも、今までエンジニアに任せっきりだったんだけど、今回はちゃんと立ち会ってミックスしたし、一回全部やり直したりとかもあった。ドラムもWiennersのKOZOにチューニングしてもらって、曲ごとにスネアを変えたりして色々やって。結果、結成11年経ってちゃんと録ればちゃんと作れるんだなって学んだ(笑) その分、音には反映できてるかなと。

楽曲にテーマとかってあるんでしょうか? 世界観というか、ストーリーだったり。歌詞が英詞なのも特徴的ですが。

岸野

その辺は… あんまりわかんない(笑) 俺がアートワークを担当してるから歌詞をもらったりはするけど、基本的にどんなことを歌ってるとかは深く聞かないかな。ただ、わりとメッセージ性の強いものっていうよりかは誰かを皮肉ってたりとか、基本的にそういうのが多いかな。1曲だけ子供が産まれたことを歌ってた曲があって。それは歌詞を作る時に、ようくんがすごい悩んでたことはあったね。

曲を作るときはサウンド重視なんですね。

岸野

そうだね。歌詞も一番最後に乗せたりするから。曲が出来上がってレコーディングする時までわからないっていうか。タイトルも付いてなかったりするし(笑)

2分〜3分の短めの曲が多いのですが、何か意図があったり?

岸野

malegoatは4分以上の曲はほぼなくて。1曲だけ(akutagawaとのスプリット盤収録の「trite」)4分越えたのはあったけど。曲を短くしようとか、長くしようとか意識はしてないけどね。ただ、あんまり間延びするようなアレンジはしないっていうのはある。どちらかというと削ぎ落とすっていう方向が多い。今回、2分ぐらいの曲もあるけど「短いから長くしよう」とかもなくて。曲の内容がしっかりできていればそれでOKっていう。

あと今回、ジャケットのアートワークがすごく印象的ですよね。

岸野

ここ数年、ずっと俺がアートワークのディレクション的なことをしてて。アルバム自体がけっこうわかりやすいエモっていう感じのサウンドになったから、アートワークは俺の中のエモっぽい感じにしたいなと思って。基本は写真を使おうかなと。それで、“若干ふざけてるんだけど、切ない”みたいなものが良いなと思って。よくInstagramとかFacebookとかで「これ良いな」っていう写真はよく保存してて。
ジャケの表紙は、以前Into It. Over It.のツアーに俺が同行したときに仲良くなったドラムのジョシュっていうやつのInstagramに上がってた写真で。使いたいと思って、本人に連絡してデータを送ってもらって。他の写真は俺がアメリカに行ったときに撮った写真を使ってる。

ジャケットの着ぐるみのような、これは何なんですか(笑)

岸野

わかんない(笑) 何なんだろうね。特にどういう写真かは本人に聞いてないんだよね。あと、文字関係は以前からstomachache.っていう二人組のイラストレーターにお願いしてて。それで作ったんだけど、写真との兼ね合いで若干文字が見えにくいかもってなって、ジャケットは特殊印刷をして文字が浮いてる感じになってるんだよね。

INFORMATION

malegoat

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here and there

2015年8月5日(水)発売
¥2,000
STIFF SLACK / STSL-95

1. For a While
2. In The Small Hours
3. The Lost Wreck
4. The Midnights Lie Around
5. Time and Distance
6. Closed
7. Many Answers
8. Come to Light
9. Blinding Song
10. Living

http://www.stiffslack.com/releases/stsl-95.html